「魚介類」の正しい「冷蔵・冷凍保存方法」


 

新鮮さとおいしさを保つ「魚介類」の正しい「冷蔵・冷凍保存方法

 

 

 

保存前の処理で新鮮さとおいしさを保つ

 

魚介類は特に傷みやすく、ニオイが移りやすい食品ですが、保存する前にきちんと処理をすれば、新鮮さとおいしさを保つことができます。

 

魚介類を冷蔵庫で保存する際のポイントは、以下の5つです。

 

 

 

魚介類の「冷蔵保存」のポイント

 

1.下処理をする

 

魚は「内臓(わた)」や「えら」から傷みが進むといわれています。冷蔵保存する前に、内臓やえらを取る「下処理」をしてから保存しましょう。

 

2. 冷蔵庫の特定低温室(チルド室、パーシャル室など)を活用する

 

チルド室、パーシャル室などの名前がついている特定低温室は、冷蔵室と比べ低い温度設定になっているので、冷蔵室よりも食材の鮮度を長く保てます。そのような機能がついている冷蔵庫では、そこで保存します。

 

※写真はチルド室の一例

 

3.水気をふき取る

 

ドリップと呼ばれる魚から出る余分な水気は、魚の生臭みの原因にもなるので、クッキングペーパーでふき取りましょう。クッキングペーパーで包んで保存するのも効果的です。

 

4.密閉する

 

魚介類は空気に触れると雑菌が増えて、腐りやすくなります。また、魚の乾燥や酸化を防ぐためにも、ラップで包んでからジッパー付き保存バッグに入れ、できるだけ空気に触れないように密閉して保存しましょう。ニオイ移りを防ぐ効果もあります。

 

5.下ごしらえする

 

加熱をしたり、下味をつけたりすると保存性が高まり、調理もしやすくなります。「刺身用の魚」は昆布締めにする、「切り身」は味噌や醤油に漬けるなど、下味をつけておきましょう。エビは茹でてから保存すると、保存期間が長くなります。

 

冷蔵保存と差をつける「冷凍保存」

 

冷蔵保存とは少し違う、「冷凍保存」のポイントをご紹介します。

 

魚介類の「冷凍保存」のポイント

 

1.新鮮なものを冷凍する

 

購入した魚介類をすぐに食べない場合は、新鮮なうちに冷凍した方がおいしく食べられます。

 

2.下処理をする

 

魚は「内臓(わた)」や「えら」から傷みが進むといわれています。冷凍保存する場合も、冷蔵保存するときと同様に、内臓やえらを取る「下処理」をしてから保存しましょう。

 

3.水気を取る

 

水分が残っていると「霜」ができ、解凍時に味が落ちる原因となります。水気はクッキングペーパーでふき取っておきます。また、丸のまま冷凍する場合は、解凍時に魚から出るドリップを吸収させるため、内臓を取った魚の腹にクッキングペーパーを詰めておきましょう。調理用吸水シートに挟んで冷凍すると、食材の表面の水分だけでなく、内部の余分な水分や臭みを吸い取りながら冷凍できるので、おいしく保存できます。

 

4.急速冷凍する

 

冷凍に時間がかかると、細胞が壊れて傷みやすくなり解凍する時にドリップが出やすく、おいしさが損なわれます。冷凍の温度設定を下げ、食材を金属製のトレイなどにのせて温度の伝わり方を早くすれば、「急速冷凍」ができます。

 

5.密閉する

 

魚介類は空気に触れると酸化し、傷みやすくなります。ラップで包んでからジッパー付き保存バッグに入れ、空気に触れないように密閉して保存します。密閉することで乾燥や酸化、ニオイ移りを防ぐ効果もあります。

 

6.下ごしらえする

 

「加熱」または「下味をつける」と保存性が高まり、調理もしやすくなります。「切り身」は味噌や醤油に漬けておくと味がしみると同時に、生臭さもおさえられます。

 

「魚介の種類別」の保存方法

 

種類によって、保存方法は少しずつ異なります。「魚介の種類別」にマスターしておきましょう。

 

1.丸ごとの魚、切り身

 

<冷蔵>
「丸ごとの魚」は頭や内臓を取り除き、よく洗ってからクッキングペーパーで水気をふき取りましょう。さらに、内臓のあったところにクッキングペーパーを詰めて、血やドリップを吸収させます。「3枚におろした魚」「切り身」はクッキングペーパーで身の表面の水気をふき取りましょう。水気を取った「丸ごとの魚」「3枚におろした魚」「切り身」は1切れずつ、クッキングペーパーとラップで包んでから、ジッパー付き保存バッグに入れて保存するのがおすすめです。

 

・保存期間の目安…23

 

<冷凍>
冷蔵保存と同様の下処理を行い、トレイの上にラップで包んだ魚をのせ、急速冷凍しましょう。このとき、調理用吸水シートで包んでからラップで包んでおくと、解凍時に出るドリップを吸収できるので、臭みをとることができます。凍ったらジッパー付き保存バッグに入れ、密閉して保存します。

 

・保存期間の目安…生のまま冷凍した場合23週間、下味をつけたり加熱してから冷凍した場合34週間   ・解凍方法…冷蔵庫解凍

 

2.イカ

 

<冷蔵>
イカは傷みやすいわたを取り、洗って水気をよくふき取りましょう。クッキングペーパーで包み、ジッパー付き保存バッグに入れ、密閉して保存します。
保存期間の目安…1

 

<冷凍>
「冷凍のイカ」はそのままジッパー付き保存バッグに移して、冷凍しましょう。
「生イカ」は下処理のあと、よく洗ってクッキングペーパーで水気をふき取ります。用途が決まっている場合は、解凍後の調理方法に合わせてあらかじめ切っておくと使いやすくなります。トレイにラップを敷き、くっつかないように並べ、ラップで包んで冷凍しましょう。凍ったらジッパー付き保存バッグに入れ、密閉して保存します。

 

保存期間の目安…生のまま冷凍した場合23週間、下味をつけてから冷凍した場合34週間
解凍方法…冷蔵庫解凍、またはジッパー付き保存バッグに入れたまま流水解凍

 

 

 

3.エビ

 

<冷蔵>
エビの頭と背わたを取り、「殻つき」のものは塩で、「むき身」は塩または片栗粉をもみ込んだあと水洗いして水気をよくふき取ります。ラップで包む、またはジッパー付き保存バッグに入れ保存します。
保存期間の目安…その日のうちに使い切る

 

<冷凍>
冷蔵と同様に下処理をして、トレイにラップを敷き、くっつかないように並べ、ラップで包んで冷凍しましょう。購入後、一度解凍したエビは、加熱処理してから冷凍しましょう。凍ったらジッパー付き保存バッグに入れ、密閉して保存します。

 

・保存の目安…生のまま冷凍した場合23週間、加熱してから冷凍した場合34週間
・解凍方法…冷蔵庫解凍、またはジッパー付き保存バッグに入れたまま流水解凍

 

 

 

4.干物

 

干物は日持ちしそうですが、実は傷みやすい食材なので、冷凍保存がおすすめです。

 

<冷凍>
1枚ずつ空気が入らないようにラップでぴったりと包み、さらにアルミホイルで包んで保存します。特に、アジの干物は脂分が多いので、アルミホイルに包むようにしましょう。

 

保存の目安…生のまま冷凍した場合23週間、焼いてから冷凍した場合34週間
解凍方法…凍ったまま焼くのがおすすめ。または冷蔵庫解凍

 

 

 

5.アサリ、ハマグリ、シジミ

 

<冷蔵>
「アサリ」「ハマグリ」は塩水で砂抜きしたあと、塩水から出して容器に入れラップをして冷蔵庫で保存します。ラップには乾燥しない程度に穴をあけ、呼吸できるようにします。
「シジミ」は真水で砂抜きしたあと、水から出して容器に入れラップをして冷蔵庫で保存します。ラップには乾燥しない程度に穴をあけ、呼吸できるようにします。

 

 

 

保存期間の目安…シジミ1日、アサリ・ハマグリ2

 

<冷凍>
「アサリ」「ハマグリ」は塩水、「シジミ」は真水で、それぞれ砂抜きしたあと、水気を切りジッパー付き保存バッグに入れ、密閉して保存します。
・保存期間の目安…23週間
・解凍方法…凍ったまま調理

 

 

 

6.タラコ、辛子明太子

 

「タラコ」「辛子明太子」は冷蔵庫で保存できますが、冷凍保存するとより長い期間おいしく食べられます。

 

<冷凍>
「タラコ」「辛子明太子」をそれぞれ1腹ずつラップで包み、トレイにのせて冷凍します。凍ったらジッパー付き保存バッグに入れ、密閉して保存します。ペースト状のものを冷凍する場合、小分けにしてラップで包むか容器に入れて冷凍保存します。

 

 

 

・保存期間の目安…2週間
・解凍方法…冷蔵庫解凍